063松山「一浴一杯」,内子「白壁」

全日空の機内誌『翼の王国』2007年10月号に愛媛の話題が載っていた。ひとつは,吉村喜彦「ニッポン酔夢行003 松山 一浴一杯,また一杯」で,『坊ちゃん』ゆかりの「三階の新築で上等」な現在の「霊の湯(たまのゆ)」と繁華街二番町にある「バー露口」を話題としている。「飲むことは,湯につかることにじつによく似ている。ことに松山では。」
いまひとつは,分藤大翼「ピグミー研究者・ブンドウくんの駅前食堂図鑑第7回 しなのある白壁 愛媛県喜多郡<内子>駅」。海鼠壁(なまこかべ)が残る内子の町並みと「りんすけ」の鯛めしの紹介だ。内子は古くは和紙と木蝋(もくろう)――櫨(はぜ。ウルシ科の落葉高木)から作る――で栄えた。30年前から取り組んできた町並み保存が知られている。大江健三郎の出身地・大瀬はこの内子にある。
全日空機に乗ったら『翼の王国』を読もう。
【追記 2007年11月9日】内子の大森蝋燭店は200年続く和蝋燭の店だ。6代目が後を継いでいる。評者は,ここの和蝋燭を点すためでなく,万年筆で書いた字の滲み防止(封書や葉書の表書き)に使っている。風格のある蝋燭だ。