134小林多喜二作(バラエティ・アートワークス漫画)『まんがで読破 蟹工船』

書誌情報:イーストプレス,190頁(?),本体価格552円,2007年10月1日

蟹工船 (まんがで読破)

蟹工船 (まんがで読破)

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小林多喜二作『蟹工船』の「まんが」二作目だ。一作目の藤生ゴオ作画・白樺文学館多喜二ライブラリー企画『30分で読める…大学生のためのマンガ蟹工船』は「マンガ」だった(本エントリー→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070519/1179558602)。まあ,「漫画」にはちがいない。
一作目は小林多喜二をストーリーに登場させていたが,本書は『蟹工船』そのものを漫画化した。冒頭に,「労働者は資本家に労働力を提供し,資本家は労働者からその日の仕事量に見合う労賃を支払う・・・・・これが労働力と賃金の「等価交換」である」「しかし実社会ではその労賃以上の価値が出るように働かせるシステムができており」「そのとき生まれた価値「もうけ」はすべて」「資本家のモノになる・・・・・つまり「搾取」である」との描写がある。蟹工船の場合,労賃を限界まで押し下げ,さらに「搾取」をともなう二重の収奪構造だ。
「帝国」の描き方は一作目がうまい。森本が一度ロシア船に救助され「赤化」することでリーダーになるとするのは一作目にはなかった。