020反骨のジャーナリスト展および図録

「反骨のジャーナリスト――陸羯南宮武外骨黒岩涙香――」と題した松山市立子規記念博物館第54回特別企画展が始まった(7月19日〜8月17日)。子規の生きた明治時代は,近代化の形を整える一方,藩閥政治や列強諸国との不平等条約などに対する国民の不満も募っていた。
陸羯南は,新聞「日本」の主宰者として新聞報道を取り締まる「新聞紙条例」への見直し請願をおこなったことで知られている。子規の叔父加藤拓川の友人であった。展示は,陸から,あるいは陸への手紙(杉浦重剛や加藤拓川など)や漢詩など。
宮武外骨大日本帝国憲法を揶揄した「大日本頓智研法」のパロディーやその条文で知られる。東京大学明治新聞雑誌文庫所蔵の諸史料が展示されていた。外骨は,入獄4回,罰金15回,発行停止処分14回の処罰を受けたというから驚く。子規と同年の生まれ。
黒岩涙香は「萬朝報」を発行し,政官財人の暴露記事や当時深刻化した労働問題や女性問題にも関心を示し,堺利彦幸徳秋水内村鑑三らの活躍の場を与えた。また,海外小説を翻訳して連載した『巌窟王』や『鉄仮面』は涙香による。
一室一フロアだけの小さな展示会だ。図録は全52ページで,ほとんどが展示の説明にあてられている。学芸員の企画解説(2ページ)と出展目録(2ページ)が付けられている。

地元のテレビで宣伝していた。また,A4のチラシも用意していた。ウェブは,企画の告知の域を超えていない。観覧料400円の小規模企画展としてはやむをえないか。