198中野正夫著『ゲバルト時代』

書誌情報:バジリコ,388頁,本体価格1,800円,2008年6月16日発行

ゲバルト時代 SINCE1966-1973 あるヘタレ過激派活動家の青春

ゲバルト時代 SINCE1966-1973 あるヘタレ過激派活動家の青春

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67年から73年に「革命」運動に一員として参加した著者のゲバルト活動記だ。この時代を体験していない,ゲバルト後時代の評者(あるセクトゲバ棒で追っかけられたことはあるが,なにしろ当時から逃げ足だけは速かった)にとっては,いやなにたんなる「革命ごっこ」と「総括」されてしまうと冷めてしまう。著者の制動ままならぬ下半身の「運動」も描くことは,この種の記録にはあまりないだろうから貴重な体験記とはいえる。
高校時代に大塚久雄や平田清明を読んだそうだ。本書の随所で,「つまらぬ屁理屈」を述べているが,これが著者の本心だろう。革命とは「現実が現実を変え」,「ちっぽけな導火線」でもって混乱を生じさせ,「行動的ラディカリズム」で乗り越えるもの,と著者は書く。シニカルな総括ではあるけれど,「革命」の志は不変なのだろう。
資金調達のために,1970年の中央大学青山学院大学の各理工学部で,友人の替え玉受験を仲介し,両大学に合格し,中央大学に入ったとあった。入学者は親にばれ,退学したとはいえ,これはこれで大問題ではないのかな。