某出版社の出版本の抄録が届く。昨年3月からの9冊分を糊閉じしたものだ。著者,タイトル,簡単な内容,目次のほか簡単な著訳者紹介がある。9冊のうち1冊が女性による翻訳者である。著訳者の紹介には「19○○年 松山市生まれ」のように生年と出生地があるが,この訳者の紹介のみ生年と出生地がない。
この抄録だけでなく,単著の場合でも女性が著訳書の場合生年を記さないことが多い。女性の年齢を聞く,知るのは女性差別とばかりに,ジェンダー・バイアスはこんなところにも影響している。新聞,雑誌などでも男性の場合は生年(もしくは年齢)を記すのは普通だが,こと女性執筆者になると途端に生年(年齢)不詳となる(講演会や学習会などでの女性講師紹介でもほぼ同じことがいえる)。報道記事中に「某某某子さん(45歳)」などとほとんど年齢を記すことと対照的である。
ジェンダー関係本はそれなりに読んできたが,女性の生年(年齢)の扱いはさほど論点になっていないように思う。違和感を感じつつ,評者の疑問を提起すればこうだ。女性著者(訳書)の紹介に生年を記すことがどのような弊害をもっているのだろうか,ジェンダー平等を目指すうえでいかに障害になっているのだろうか。
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