100「京大天皇事件60周年」の集い

あるメーリングリストから知る。
「京大天皇事件」とは,「1951年1月12日,一連の関西地方巡幸の一環として天皇京都大学を訪問した際,一部学生が天皇制廃止等を記したプラカードを掲げ,出迎えの多くの学生が天皇の到着とともに教職員の制止を振り切って本館玄関付近に群がり天皇の車を遠巻きにして「平和の歌」を合唱した出来事であり,また京大生のそうした行為が当時の政府や新聞等の批判にさらされ,学生自治会であった同学会の解散と同学会の委員8名に無期停学処分が下されたという一連の動きも含まれている(西山伸「<資料解説・目録>京大天皇事件関係資料」『京都大学大学文書館研究紀要』第9号,2011年2月28日→http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/139399/1/kua9_71.pdf)。
関係資料148点は京都大学大学文書館に保存されており,「事件」の概要と資料内容については上掲文献に詳しい。「京大天皇事件は,発生そのものは偶発性の強い事件であったが,その後の社会各層の対応は始まったばかりの象徴天皇制の受け止め方をはしなくも露わにするものでもあった。そうした意味で,本資料は他の関係資料とともに,京大の歴史だけでなく天皇をめぐる社会史,政治史を見る上で必須であると言うことができよう」(同)。
この時の京都大学同学会の「私達は一個の人間として貴方を見る時,同情に耐えません」で始まる質問状の執筆者は中岡哲郎だったし,城山三郎大義の末』には言及がある(ウィキペディア「京大天皇事件」が詳しい)。野間宏の同学会への激励メッセージもこの資料に含まれている。
河西は,「1950年代初頭における象徴天皇像の相魁――京都大学天皇事件の検討を通じて――」(『日本史研究』第502号,2004年),「敗戦後における学生運動と京大天皇事件――「自治」と「理性」というキーワードから――」(『京都大学大学文書館研究紀要』第5号,2007年→http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/68871/1/kua5_17.pdf),『「象徴天皇」の戦後史』(講談社,2010年,[isbn:9784062584609])の著者である。