066小樽商科大学史料展示室・日本銀行旧小樽支店金融資料館・市立小樽文学館

ホテルから小樽商科大学まで歩く。なだらかに続く坂を上っていくと「地獄坂」だ。案内版があるところから振り返ると小樽港がはるか下に見える。小林多喜二伊藤整橘木俊詔も歩いて通った道だ。坂のある大学キャンパス――たとえば,行ったことがある東北大学川内,神戸大学関西学院大学――のなかでも別格である。「地獄坂」は名ばかりではないと実感した。→http://www.city.otaru.lg.jp/simin/koho/sakamati/1506.html
経済学史学会第76回大会2日目の第2会場で,山口拓美「マルクスにおけるエコロジー経済学の萌芽――自然のEXPLOITATIONとその邦訳語について――」のコメンテーターをする。EXPLOITATIONの語義に遡って,「搾取」と訳すだけではその真意を汲み取れないという趣旨の意欲的な報告だった。EXPLOITATIONあるいはAUSBEUTUNGなど4〜5種になる「搾取」の変遷と「自由,平等,所有そしてベンサム」にいたるベンサム評価の意味についてコメントした。
つかの間の時間を利用して小樽商科大学史料展示室を訪れた。小樽高等商業学校としての創立(1899年)から現在まで7つの時期を写真と資料で振り返っていた。小林多喜二伊藤整,『天才柳沢教授の生活』のモデル・古瀬大六――山下和美は古瀬の四女――をクローズアップする構成になっていた。社会科学の古典の貴重図書の解説『小樽商科大学附属図書館所蔵の貴重図書 展示史料解説書』(70ページ,2011年3月31日,非売品)をいただいてきた。→http://www.otaru-uc.ac.jp/htosyo1/annai/shiryotenji.html
日本銀行旧小樽支店金融資料館は宿泊したホテルのすぐ近くにある。辰野金吾らが設計した旧建物を活用して2003年5月に開設した。日銀の役割やお札についての解説があり,日銀を身近に感じてもらおうという趣向がこらされている。現在外壁等改修工事のため展示エリアを縮小している。→http://www3.boj.or.jp/otaru-m/
向かい側にあるのが市立小樽文学館だ。石川啄木小林多喜二伊藤整など小樽と関わりの深い文学者たちの史料展示が中心だ。今日までの企画展「活版印刷物語」も見ることができた。→http://www4.ocn.ne.jp/~otarubun/bungakukan/yakataindex.html