サン・マルコ広場の旧王宮内にあるコッレール美術館所蔵作品を中心に――13館からなるヴェネツィア市立美術館群のひとつで,本展にはコッレールをふくむ7館からの作品――,歴史と貴族・食をテーマに展示していた。学芸員の「ヴェネツィア入門講座」(約1時間)を聞いてから鑑賞してきた。学芸員の話は主だった展示品と実際に行って撮った現在のヴェネツィアとを織り交ぜ,作品の背景を理解する助けになった。メモを一生懸命録ったが,ハンドアウトした資料もあるとありがたい。
千年の都の栄華に焦点が当てられ,ヴェネツィアの繁栄と華やかな貴族の生活が作品に写し採られていた。作者不詳「船体溶接工組合の標識」(16-17世紀)には聖マルコと組合の守護聖人フォーカのほかに,こどもをふくむ多数の溶接工の姿が見える。アンドレア・ミキエッリ「レバントの海戦」(1571-1600)の船上には無数の操舵手・兵士がいる。レオナルド・ガヴァニン「マルコ・ポーロの帰還」(1848)には東洋から帰還したマルコ・ポーロを宝石や貴石とともに絵画化した作品だ。
ヨーゼフ・ハインツ・イル・ジョーヴァネ「レデントーレの行列」(1648-50)はレデントーレ教会におもむく聖俗の権力者たちの儀式を伝えている。ジョゼッペ・ボルサート「リアルト橋」,作者不詳「フェニーチェ劇場」は当時の景観を忠実に写し出している。ガスパレ・ディツィアーニ「料理人組合の看板」(1738)には厨房の料理人数人が,ピエトロ・ロンギ工房「田舎での昼食」(1740-50)には貴族の食事の傍らで荷物運びをしている使用人が見える。
昨年9月から本年11月まで全国を巡回する展示会(→http://www.go-venezia.com/)である。
- 江戸東京博物館(→http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/)
- 2011年9月23日(金・祝)〜12月11日(日)
- 名古屋市博物館(→http://www.museum.city.nagoya.jp/)
- 2011年12月22日(木)〜2012年3月4日(日)
- 宮城県美術館(→http://www.pref.miyagi.jp/bijyutu/museum/)
- 2012年3月17日(火)〜5月13日(水)
- 愛媛県美術館(→http://www.ehime-art.jp/)
- 2012年5月26日(土)〜7月16日(月・祝)
- 京都文化博物館(→http://www.bunpaku.or.jp/)
- 2012年7月28日(土)〜9月23日(日)
- 広島県立美術館(→http://www1.hpam-unet.ocn.ne.jp/)
- 2012年10月6日(土)〜11月25日(日)
図録は資料として使える仕上がりだ(カタログ写真を公式ウェブから拝借→http://cart05.lolipop.jp/LA06797162/?mode=ITEM2&p_id=PR00102200745)。
タイトル | 執筆者など |
---|---|
ヴェネツィアの肖像 | ジャンドメニコ・ロマネッリ |
PAX TIBI MARCE EVANGELISTA MEUS――ヴェネツィアと聖マルコのライオン | 京谷啓徳 |
ヴェネツィア市立美術館群(ヴェネツィア・マップ) | - |
第1章 黄金期 | - |
ヴェネツィア共和国「セレニッシマ」 | - |
唯一の都市ヴェネツィア | - |
第2章 華麗なる貴族 | - |
第3章 美の殿堂 | - |
水の都――悦楽的酩酊と闇―― | 中野京子 |
出品リスト | - |
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