昨年度の国立大学教員養成大学・学部(教員養成課程)の就職率などが公表された(→http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/01/1330289.htm)。44大学・学部の教員就職率(正規採用者数と臨時的任用者数の比率)は61.6%,卒業者数から大学院等への進学者と保育士への就職者を除いた場合の教員就職率70.8%(前年度70.6%)である。前者の数字の推移は,1999(平成11)年から2011(平成23)年まで32.0%,33.7%,37.8%,45.0%,52.2%,55.5%,56.4%,56.2%,56.7%,56.6%,59.6%,62.0%となっている。
それなりに高い比率のように見えるが,正規採用が35.5%と臨時的採用が26.1%(前年度それぞれ36.5%と25.5%)の合算が61.6%という数字である。4人に1人は臨時的採用という実態はけっして好ましいものではない。
かたや定年退職予定教職員の「自己都合退職」問題にかんして,文科省初等中等教育局長名の都道府県教育委員会および指定都市教育委員会宛の「定年退職予定教職員の自己都合退職に関する調査結果及び留意事項について」が通知された(1月25日付→http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1330384.htm)。教職員は「自己の職責や使命感をもって職務を全うすることが期待されて」いるので「適切に対応」すること,「各教育委員会及び学校の責任において,児童生徒への教育活動や学校運営に支障が生じないよう,代替教職員の確保等の方策」と「必要に応じて,児童生徒や保護者等に対して説明を行うことにより,不安の解消に努め」ることを内容としている。
後段は当然のこととして「適切に対応」するとは,自己都合退職しないようにしろということだ。退職金を減額しておいて「職務を全う」せよはない。自己都合であろうとなかろうと,教職員「労働者」はいつ辞めてもいいはずだ。「労働者」扱いをしながら「教師=聖職」論を持ち出しているように読める。
国立大学法人の多くも国家公務員に「準じて」,退職金の段階的減額を実行した。かつても定年前に「自己都合退職」した教職員はいた。ただ,教員の場合は指導学生を持っており,病気などを例外として予告なしに辞めることはない。最低でも1年前後から準備したうえで辞める(大学間の「異動」の場合も明文化されてはいないが慣例となっている)。
辞めるに辞められないジレンマを抱えているのが教員である。働く環境・条件を悪化させて辞めるなはない。だが,今回の教職員「労働者」の「自己都合退職」も無責任の謗りを免れないと思う。
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- ロジェ=アンリ・ゲラン/ジュリア・セルゴ著(加藤雅郁訳・高遠弘美解説)『ビデの文化史』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090131/1233410525
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- 平田清明著作目録ブログ版(1973・1974)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080131/1201772682