ドイツの理容師・美容師の最低賃金が8月から導入されることになった。ドイツには全国一律の法定最低賃金制度はなく,職種別に労使交渉して決定する。今回の合意では,当面1時間当たり7.5ユーロ(旧西ドイツ地域)と6.5ユーロ(旧東ドイツ地域)で,2015年には全国一律で8.5ユーロ(最新のレート換算で1,105円)となるという(しんぶん赤旗2013年4月28日付)。
現行最低賃金には,労働者派遣,介護,ビル清掃,建設業,電気工事職,警備,廃棄物処理業,塗装職,屋根葺き職,法人向けランドリーサービス,炭鉱特殊作業がある。理容師・美容師になるためには職業学校を終えてから見習を経て,ゲゼレ(熟練職人),マイスターと資格を取らなければならない。マイスター資格を持つ経営者以外はドイツの典型的な低賃金労働者と言われている現状が今回の背景となっている。
低賃金労働の割合が増え,労働協約においても低賃金が広がってきたドイツは,EU内における労働力移動の自由化による賃金ダンピング競争への対応からも最賃制の導入を考慮せざるをえなくなってきた。ドイツの労使関係法制の根幹は協約自治による労働協約法である。
労働協約によって公正な賃金を保障できるのか。生活保護水準よりも低い最低賃金水準を決めている国にとっても無関心ではいられない。
とりあえず,齋藤純子「ドイツの最低賃金規制」(国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』2012年2月→http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3480642_po_073302.pdf?contentNo=1)と労働政策研究・研修機構「ドイツにおける最低賃金制度:協約自治の補完システムとしての制度」(2006年5月23日→http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2010/documents/063_01.pdf)を読んで知識を得た。
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