027国際卓球連盟(ITTF)と日本卓球協会(JTTA)の広報戦略

かつて世界の卓球を日本がリードしていた時期があった。また,荻村伊知朗が ITTF の第3代会長に就任したこともある(1987年から)。名古屋で開催された第31回世界卓球選手権大会では米中国交正常化のきっかけになったグレン・コーワンと荘則棟の出会いもあった。
卓球愛好家の評者は ITTF(http://www.ittf.com/_front_page/ittf.asp?category=General)のメルマガの配信を受け,主だった大会のライブ中継をする itTV(http://www.ittf.com/ittv/)をよく観る。ITTF の HP は記録の保存やアップツーデートな話題の提供にも熱心に取り組んでいる。ともかく内容が充実している。日本選手もよく登場する。
かたやJTTA(http://www.jtta.or.jp)の HP はどうか。協会案内,大会スケジュール,試合結果,ランキング,リンク集,ニュース,トピックス,プレスリリースだけである。ほんとこれだけである。先日横浜で開催されたジャパン・オープン(荻村杯)についてはトップページに優勝した塩野,福原,上田・吉村の写真と一覧表にした試合結果はあるが(大会のプレスリリースもあった),ITTF がメルマガや HP で報じたストーリー性のある情報とは雲泥の差がある。塩野が自費参加であったことや賞金額は ITTF で知った。
今年2月のクウェート・オープンでは平野美宇(みう)・伊藤美誠(みま)の小6の12歳ペアが本戦で1回勝ち,翌週のカタール・オープンでは堂々準決勝まで進出した。この時も JTTA はこの快挙にまったく触れていない。
まだまだ卓球愛好家の裾野が広く,トップ選手育成に成果を上げつつある JTTA の広報としてはけっして十分とはいえない。結果しか報じない広報からは卓球のおもしろさと魅力を引き出すのは難しい。
ITTF の理事会で話題になったであろうラバーの問題や時期オリンピックでの混合ダブルスの採否など知ろうと思えば JTTA しかないのにその種の情報も皆無である。