857鎌田遵著『写真集 ネイティブ・アメリカ』

書誌情報:大月書店,95頁,本体価格3,800円,2013年4月19日発行

写真集 ネイティブ・アメリカ

写真集 ネイティブ・アメリカ

  • 作者:鎌田 遵
  • 発売日: 2013/04/01
  • メディア: 大型本

  • -

前著『ドキュメント アメリカ先住民』(大月書店,2011年11月,[isbn:9784272330676])に登場するモハベ族のひとりがこう言ったという。「これまで誰からも認められてこなかったが,この本によって記録され,自分や家族の人生に光があてられた。つぎの世代になにかを残すことができた」(93ページ)。
虐殺,飢餓,伝染病,熾烈な同化政策居留地原子力政策によって差別と貧困に苦しんできたアメリカ先住民の生活と歴史は,大地や人物の写真によってありのままに記録されている。アメリ連邦政府から承認を受けた部族は566であり,237部族がカジノの誘致と建設によって経済開発をおこなっているという。居留地に押し込められながらも人種の坩堝・アメリカでしたたかに生きようとしている姿が鮮明に映し出されている。
第二次世界大戦中の敵性外国人・日系人の10強制収容所にはふたつの居留地が含まれていた。敵性外国人は解放され,建物の多くは解体されたが,使用されていたバラック小屋は先住民に再利用され今も残っている(本写真集にはアリゾナ州カリフォルニア州バラックが載っている)。
「大地で生き抜く人びとの知性と品格にあふれた誇りある姿」(写真家・大石芳野の跋文から)が白黒写真に映っている。