書誌情報:角川oneテーマ21(C-249),308頁,本体価格781円,2014年7月10日発行
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やくざなマネー資本主義にさよならをしてかたぎな里山資本主義を目指そうじゃないかと熱いメッセージが込められている。高齢化や過疎が進行する中国地方の果敢な取組から,都市で進むスマートシティづくりと地方であらためて見直されるふたつの絆・つながり(人との絆と自然とのつながり)にもとづく里山資本主義とに,日本の未来を託する構想である。
里山資本主義とは資本主義のサブシステムで「今の生活をちょっとだけ変えて,ささやかな実践をすること」(149ページ)で,貨幣万能を排し,規模の経済へ意義を申し立て,一人多役の人を生かすことで,里山がない都市でも共通するとする。
エコストーブ(真庭モデル),オーストリアのペレット,新しい集成材と福祉循環(庄原モデル),耕作放棄地利用(島根),周防大島など昔に返れではない発想転換の試みが魅力的である。
「マネーに依存しないサブシステム」は倍返しではない「手間返し」――「地域の人びとが互いにお世話をしあい,お返しをする無限のつながり」(226ページ)――だから,資本主義のなかで失われつつあり金銭的勘定から切り捨てられてきた人間的営みを復権させる意味をもつ。グローバル経済と言われる中で地域で進む草の根の活動に確信を,過疎や地方には光を当ててくれた。
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