書誌情報:悠書館,vi+272頁,本体価格2,800円,2014年8月20日発行
- 作者:ミヒャエラ フィーザー
- 発売日: 2014/08/18
- メディア: 単行本
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将軍の尿筒(しとづつ)担当の公人朝夕人やシャルル=アンリ・サンソンのようなフランスの死刑執行人――安達正勝著『死刑執行人サンソン――国王ルイ十六世の首を刎ねた男――』(集英社新書,2003年,[isbn:9784087202212])に詳しい――は職業としては公務員になるのだろうが,世襲の特殊な公務員ではあった。
東洋の島国でも本書にある炭焼きや博労――井上ひさし著『馬喰八十八伝』(朝日文庫,1986年,[isbn:9784022555007])を思い出す――はちょっと前まで普通に見られた職業だった。死刑制度がある日本では死刑を執行する公務員がいまでもいる。いまでは消滅してしまった当時の生活をものがたる中部ヨーロッパの職業を文献や調査によって紹介した本書は,なぜその職業があったのかを説明することに紙数を費やす。にせ医者は21世紀でも健在である。
原題には「珍」はない。今となっては多くは廃れてしまったが,存在することに意味があったさまざまな職業の栄枯盛衰が語られていた。
本書で詳述される職業は以下である。
- 移動貸しトイレ業
- 何でも呑みます屋
- 蟻の蛹採り
- 乳母
- 大道演歌師
- 鯨骨加工職人
- 洗濯職人,小便壺清掃人
- コーヒー嗅ぎ担当兵
- 従僕トルコ人,休廷ムーア人,島勤めインディアン
- 炭焼き
- 蠟燭の芯切り係
- 石版印刷工
- 屑屋,古布回収業
- ビー玉職人
- ロザリオ職人,琥珀細工職人
- にせ医者
- 気送郵便局員
- 博労
- 砂売り
- 刑吏
- 輿担ぎ
- 影絵肖像画家
- 遍歴説経師
- 野蜂飼い
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