018玉木欽也監修・齋藤裕/松田岳士/橋本諭/権藤敏彦/堀内淑子/高橋徹著『eラーニング専門家のためのインストラクショナルデザイン』

書誌情報:東京電機大学出版局,xv+189頁,本体価格2,400円,2006年5月10日

eラーニング専門家のためのインストラクショナルデザイン

eラーニング専門家のためのインストラクショナルデザイン

初出:コンピュータ利用教育協議会『コンピュータ&エデュケーション』第21号,東京電機大学出版局,2006年12月1日

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タイトルにあるインストラクショナルデザイン(以下ID)とは1970年代から教育工学で注目され,企業内教育で活用されてきた授業設計のことである。これを実現するにはITのまざましい発展を不可欠としており,それによってeラーニング全体の管理・運営も現実のものとなった。
本書は,IDの理論と実際についての部分(第I部)とeラーニング専門家が関係した事例を紹介した部分(第II部)からなっている。とりわけ第I部においては,IDについて,分析,設計,開発,実施,評価にいたる手法が詳述されている。IDが「教育活動の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野,またはそれらを応用して学習支援環境を実現するプロセス」であるので,必ずしもeラーニングと結びつくわけではない。本書は,eラーニングの実施とそれを担う専門家養成のための基礎にIDをおいたことに特徴がある。
本書は青山学院大学総合研究所eラーニング人材育成研究センターの共同研究の成果である。主眼はあくまでもeラーニング専門家の育成にある。しかし,ここで提起されているIDは企業内教育のみならず,教育の中味と強く結びついている。ID,コンテンツスペシャリスト,メンタなどは本来通常の教育にもなければならない専門家だからである。認知科学や学習理論との関連は課題として残されているが,「より良い学び」を構想するうえで多くの知見を提供している。