078片桐稔晴著『古典をひもとく社会思想史』

書誌情報:中央大学出版部,ix+216頁,本体価格1,900円,2007年6月12日

古典をひもとく社会思想史

古典をひもとく社会思想史

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社会思想史や経済思想史の古典へ誘う入門的書物。古典をひもとく意味についての思いは評者も著者と同様だ。本書では,ホッブズ,ロック,マンデヴィル,ルソー,スミス,そしてリストを取り上げ,市民社会は同時に自治・分権社会を構想するものだったという観点から彼らの叙述を紹介している。スミスについては分業論までであり,著者の問題意識がやや上滑りしている感もある。ひとつの切り口をもとに古典の読解を促すのが目的とすれば,この方法もやむをえないか。
引用文と著者の文には,強調符として読点「、」が使われている。本書は横書きであり,使うとすれば中点(中黒)「・」が無難だろう。