書誌情報：作品社，615頁，本体価格3,800円，2017年11月20日
- 作者: エリック・ホブズボーム,水田洋,伊藤誠,太田仁樹,中村勝己,千葉伸明
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2017/10/31
- メディア: 単行本
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著者はイギリスの歴史家で単著だけで24冊あり，そのうち14冊が日本語に訳されている。著者は2012年に95歳で亡くなっており，本書は亡くなる前年に出版され，1956年から2009年までの諸論稿に加筆した全2部16章からなっている。
エンゲルスの『イングランドにおける労働者階級の状態』，『共産党宣言』，『経済学批判要綱』，『諸形態』を中心としたマルクス・エンゲルスの諸文献の背景と研究にかんする部分を第1部とし，論文執筆時の2000年頃までのマルクス主義の歴史学，社会学，哲学，経済学に跨がる影響と受容とを扱った部分を第2部としている。
著者が「歴史を，象牙の塔から民衆の生活の仲に持ち込んだ」のか，「スターリンの応援団長」だったのか，「最後のロマン主義者」だったのか（著者が亡くなった時のイギリスのマスコミの報道。監訳者の水田の解説から。）。マルクスとエンゲルスの再読と科学論や芸術論を織り交ぜた資本主義の現段階理解による社会体制移行論は歴史学研究の重厚さを教えてくれる。
本書には日本人や日本への記述は多くない。ヨーロッパ諸言語の関心はあってもその視線は極東まで届いていない。水田が「日本にも市民社会論という問題」（550ページ）を著者に発信していたエピソードを興味深く読んだ。
カバーを外して読んでいたことで，背表紙の誤記（訳者の伊藤誠が伊東誠となっている）に気がついた。
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