書誌情報:新潮社,2000年7月,305頁,本体価格1,600円
- 作者: 立花隆,南谷崇,安田浩,児玉文雄,橋本毅彦,立花隆ゼミ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/07
- メディア: 単行本
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- 作者: 立花隆,橋本毅彦,安田浩,南谷崇,児玉文雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/10
- メディア: 文庫
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とかく新しい技術や情報に目がいきやすい。本書は,東京大学先端科学技術研究センターのメンバーと立花および東大教養学部立花ゼミOBたちが共同でまとめた「情報」を学ぶ本である。
立花は,インターネット時代においては,コンピュータはコミュニケーションの道具であることと情報収集マシンであること,重要なリテラシーとしては発信能力とオーガナイズする能力がある,とまとめている。また,立花は,情報教育にはコンピュータの操作を学ぶ「実学としての情報教育」とコンピュータの基礎的な知識を学ぶ「知識面での情報教育」というふたつの側面があると指摘する。
各章が講義形式になっており,立花の総論的な「情報原論」からコンピュータのしくみ(南谷),歴史(橋本),産業利用(児玉),将来(安田+村井純),そしてオープンソース論(立花ゼミ)の各論部分まで,情報を考える内容を,淡々と開示している。簡潔な叙述と要を得た脚注と図示は,講義ならではのもの。
本書をユニークにしているのは,立花ゼミの「調べて書く,発信する」ゼミの延長で編まれた書物であることと,本書それ自体に読書の精読と多読の能力を試す素材しての提供を狙っていることであろう。情報を多面的につかまえる能力が肝要とする立花の息吹が伝わってくる書物である。