528水田洋文庫

名古屋大学附属図書館報『館燈』第182号(2012年1月15日発行)を眺めていたら,中井えり子(名古屋大学附属図書館研究開発室研究員)「水田文庫付属資料等調査(1851年以降刊行図書)について」に目が留まった。本ブログで何度か触れた水田文庫のうち書誌・所蔵レコードには記載されない挟み込み資料・蔵書票・蔵書印・書込の調査報告である。1851年以降に刊行された図書6,907冊が対象とある。
挟み込み資料には,納品書・請求書類,出版社の広告チラシ・読者アンケート,古書カタログの切り抜き,本のカバー,水田の製本指示のための付箋,署名入り謹呈紙,新聞の切り抜き書評,押し花,水田宛手紙類・メモ,月報などである。蔵書票には匿名,団体,個人のもの約70種類があり,日本人の蔵書票もあるという。蔵書印にも団体(機関)と個人のもの100種類あまりあり,ゴム印のほかエンボス印もある。署名にはマカロックの自筆署名や戦後直後からイタリア大統領だったルイジ・エイナウディの水田献呈署名も含まれている。
古典ともなれば書誌的事実だけでなく,本の由来や本を介した人間的繋がりなど研究資料として有益なものもあるだろう。中井は「何らかの方法で記録・公開していくことが課題」と結んでいる。
『館燈』は印刷物だけでなくPDFでも読むことができる(→http://www.nul.nagoya-u.ac.jp/koho/kanto/index.html)。関連して水田の思想形成と蔵書について語った講演記録「ぼくの思想形成と蔵書形成」(『名古屋大学附属図書館研究年報』第9号,2010年5月→ http://libst.nul.nagoya-u.ac.jp/pdf/annals_09.pdf)は参考になる。