書誌情報:桜井書店,403頁,本体価格5,200円,2007年3月28日

- 作者: 大谷禎之介
- 出版社/メーカー: 桜井書店
- 発売日: 2007/03/01
- メディア: 単行本
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編者の古稀(2004年),法政大学退職(2005年3月)を機会に編まれた本書は,編者の薫陶ないし学問的影響を受けた者の共同作業だ。共通の問題意識は,「労働を基礎とする社会把握」の志向とアソシエーション社会の構想である。
編者は,久留間鮫造編『マルクス経済学レキシコン』(全15巻,大月書店,1968〜1985年)の編集協力者,『資本論』諸草稿の編纂・翻訳・分析で知られている。国際マルクス=エンゲルス財団の編集委員を1992年からつとめ,98年以降は日本MEGA編集委員会の代表でもある。新MEGA第2部第11巻(『資本論』第2部諸草稿所収)は編者によるものであり,もうすぐ刊行される。
マルクス経済学を解説した大著『図解 社会経済学――資本主義はどのような社会システムか――』(桜井書店,2001年,asin:4921190089)は,かつての越村信三郎のそれをはるかに凌ぐ独創あふれる多くの図解によってマルクス経済学を解説したものだ。法政大学経済学会『経済志林』第72巻第4号は編者の退任記念論文集にあてられ,経歴と業績が一望できる(2005年3月時点)。
部・章 | タイトル | 執筆者 | 所属 |
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はしがき | なぜ「21世紀とマルクス」か | 大谷禎之介 | 法政大学(名) |
序章 | 労働に即する社会把握の復権のために――ヘーゲル自己意識論批判と労働―― | 有井行夫 | 駒澤大学 |
第I部 | 資本システムの理論を鍛える | ||
第1章 | 現代の産業循環・恐慌と信用――ドル体制下の世界―― | 小西一雄 | 立教大学 |
第2章 | マルクス生産価格論の形成――『1861-1863年草稿』を中心に―― | 尾崎裕太(「崎」は「立」) | 法政大学(院) |
第3章 | 利潤率の傾向的低下法則と恐慌――『資本論』第3部第15章の主題との関連で―― | 前畑憲子 | 立教大学 |
第4章 | 近代株式会社の本質――「資本のアソシエーション」の意味―― | 小松善雄 | 立教大学 |
第II部 | 資本システムの理論を展開する | ||
第5章 | 資本のシステムと労働時間――労働契約の法と経済―― | 中野育男 | 専修大学 |
第6章 | いわゆる「技術の内的発展法則」について――田辺振太郎氏の「動力と制御の矛盾」論の検討―― | 松下和輝 | 立教大学(院) |
第7章 | 預金通貨論批判――貨幣の二重化とそれぞれの異なる貨幣機能―― | 前畑雪彦 | 桜美林大学 |
第8章 | 「比較生産費説」批判――調和的国際分業論の検討―― | 東 洋志 | 立教大学(院) |
第9章 | グローバル資本主義における労働とコミュニケーション的行為――労働とコミュニケーションの二元論をこえて―― | 佐々木康文 | 福島大学 |
第III部 | 資本システムのなかにアソシエーションを見る | ||
第10章 | 賃労働からアソシエートした労働へ――労働市場なき市場経済はフィクションである―― | 大谷禎之介 | - |
第11章 | 社会的分業の「ネットワーク」化と商品生産の揚棄――労働と交換における交互性 (Wechselseitigkeit) の展開―― | 浅川雅巳 | 札幌学院大学 |
第12章 | 資本・市場・競争――新しい社会形成の契機を求めて―― | 宮田和保 | 北海道教育大学 |
第13章 | 私的所有の否定と個人的所有の再建――マルクスの人間解放論―― | 長谷川義和 | 大月短期大学 |
第14章 | 世界市場と人間的解放――通過点としての「資本の傾向」―― | 神山義治 | 北海学園大学 |
あとがき | - | 小西一雄・宮田和保 |