145二宮周平著『家族と法――個人化と多様化の中で――』

書誌情報:岩波新書(1097),ix+241+14頁,本体価格780円,2007年10月19日

家族と法―個人化と多様化の中で (岩波新書)

家族と法―個人化と多様化の中で (岩波新書)

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新ゼミ生用のテキストとして家族をめぐる法律問題をまず取り上げている。家族問題やその法律問題についての学生の知識(だけではないが)はびっくりするほど欠けていると思っているからだ。福島瑞穂著『結婚と家族』(岩波新書207,1992年1月,asin:4004302072)を長らく使用してきた。この間,著者は弁護士から代議士に華麗に(?)変身もしたし,いかんせん15年も経つ。
本書は家族にかかわる法の知識と家族制度だけではなく,同性カップル性同一性障害,DVなどこれまでにない法の対応についても触れており,福島著を継承するものになっている。巻末に,家族にかかわる判例出典と参考文献の一覧もついており,家族法への手掛かりを与えてくれる。著者は,家族の神聖視や絶対化をすべきではないという立場を明らかにしている。家族の現在に生起していることと法とが整合的なのかどうかを考えるうえでも参考になろう。