303楠井敏朗著『大塚久雄論』

書誌情報:日本経済評論社,vii+364頁,本体価格4,600円,2008年7月3日発行

大塚久雄論

大塚久雄論

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大塚の研究を要約し,著者自身の見聞や周囲の人々の聞き伝えを加えて編んだ大塚久雄伝記である。『大塚久雄著作集』の編集に携わった石崎津義男の回想録『大塚久雄 人と学問』(みずず書房,2006年,下記関連エントリー参照)とともに大塚久雄の人と学問を知る恰好の書物だ。
「入門を許され」(32,350ページ)た門下生の手によるものだけに,理論だけでなく生活と生活信条にいたる丸ごと肯定がなにより特徴である。
伝記とは直接関係ないものの,大塚の蔵書は,かつて教鞭をとった法政大学,東京大学国際基督教大学ではなく,福島大学にある。大塚のひとつの受容として興味深い出来事である。