書誌情報:ちくま学芸文庫(ヒ-4-9),286頁,本体価格1,200円,2014年1月10日発行
- 作者:マイケル ウェイン
- 発売日: 2014/01/08
- メディア: 文庫
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マルクスが先行する経済学の批判を通して資本主義批判を試みたのにたいし,現実の象徴的な事象と問題を抉った作品から『資本論』の考え方を解説していた。
『資本論』の解説部分にそれに先立つ草稿である『経済学批判要綱』からたびたび引用していること,物神性論(本書では「フェティッシュ」)と利潤率の傾向的低落に着目していること,労働時間短縮論と生産者による組織を未来社会論に繋げていることが特徴として指摘できる。資本主義の改革に望みをつないだり,資本主義に将来社会を託すほうがはるかにユートピアであるとの著者の主張は鮮明に出ていた。
原著は For Biginners LLC 社によるビギナーズ・シリーズの一冊である。「偉大な思想家の著作を手短に凝縮しながら,わかりやすくストレートに伝えることを一貫した戦略にして」(「訳者あとがき」258ページ)おり,51タイトルを数えるという。創始したグレン・トンプソンの存在,もともと協同組合形式の出版から始まったことや格差・貧困に苦しむ人にこそ読んで欲しいというメッセージが『資本論』を選ばせたのだろう。
「ニューヨーク・タイムズ」紙の風刺画の常連というチェ・スンギョンの画は文脈と対応していて,欧米風カリカチュアの一端を感じた。
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