1069横手慎二著『スターリン――「非道の独裁者」の実像――』

書誌情報:中公新書(2274),xii+318頁,本体価格900円,2014年7月25日発行

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ロシアにおいてスターリン(1879.12.21 or 1878.12.18-1953.3.5) にたいしてすくなくとも語句博非道な独裁者としての評価だけではないという。フルシチョフスターリン批判(1956年2月の第20回共産党大会演説)とゴルバチョフのそれを踏襲する演説(1987年のロシア革命70周年記念演説)以後も,ソ連崩壊後のロシアにおいても「スターリン擁護派と糾弾派は,相変わらず厳しい対立の中にある」(294ページ)。
ヨシフ・ヴィッサリオノヴィチ・ジュガシヴィリ(愛称ソソ)時代からスターリン(1910年代前半からの変名)を追い,「スターリンを通じてロシアという国を理解し,ロシアという国を通じてスターリンを理解しようとする試み」(vページ)は,党組織論と民族問題の専門家の独裁者への歩みを明らかにする。スターリン個人とロシア革命前後からの内外情勢との絡みのなかでソ連が形作れてたことがよくわかる。
当面した重要課題である対外関係,経済政策,農民政策を遂行することと相まって,「ソヴィエト・ロシアでは,非常に早い時期から共産党が国家機関を支配する仕組みを内部に創り出した」(144ページ)ことが,スターリンスターリンたらしめたのだろう。
ここで描かれたスターリン像はソ連・ロシアという時代と場所と無関係に一般化できないことを教えている。「スターリンを知らずして,ロシアは語れない」(帯の惹句から)。