書誌情報:集英社インターナショナル新書(007),253頁,本体価格760円,2017年2月12日
- 作者:広瀬 隆
- 発売日: 2017/02/07
- メディア: 新書
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冷戦終結とともに社会主義体制をまるごと否定し,その起点としてのロシア革命をも歴史の彼方に葬る見方が広がった。ロシア革命100年にあたる2017年もいたって静かなのはこうした事情によるのかもしれない。
著者はロシア革命を偉大な反戦運動の結果としてみるべきという理解から,ロシア革命前後とレーニン指導下のソヴィエト体制をこの反戦運動に位置づけ直し,その後の独裁体制・恐怖政治とを峻別する。ロシア革命は「人類史上稀に見る最大の「国際的な反戦運動の成功」」とみなし,レーニンの主張する戦争から革命の道(「革命的祖国敗北主義」)が多数派になるプロセスを追う。トロツキー,スターリンらの人間模様とバクー油田をめぐる利権,ロスチャイルド家の関わりなどが複雑に入れ込む。
レーニンも戦時共産主義体制下でボリシェヴィキ独裁体制を確立し70年以上もの間続くソ連の基礎を築いたとして批判の対象になる。
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