書誌情報:幻冬舎ルネッサンス,127頁,本体価格1,300円,2011年7月5日発行
- 作者:高本 茂
- 発売日: 2011/07/05
- メディア: 単行本
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政治権力奪取,前衛党とプロレタリア独裁,土地の国有化など世界史の画期をなしたといわれるロシア革命が最初から虚偽にまみれ,「マルキシズムはその内部から必然的にボルシェヴィズムを生み出し,ボルシェヴィズムはその内部から必然的にスターリニズムを生み出す」(「あとがき」117ページ)と,著者の紡いだ革命初期の物語は刺激的だ。
革命に先立つツァーリ体制変革の動きをボルシェビキが横取りし,プロレタリア独裁を一党独裁に変質させ,農民の現実的対応への希望(公共物)を土地国有化にすり替えた有り様を告発している。ウクライナにおける「労働者自主コミューン」を暴力的に壊滅させたのもボルシェヴィキである。
革命後「虚偽と抑圧と恐怖の支配する牢獄国家」(110ページ)を経験し,ペレストロイカを経てソ連崩壊に至ったことは歴史に刻まれている。トロツキーやスターリンの存在でロシア革命がねじ曲がったのではなく革命の瞬間からレーニンの時代から問題を包蔵していたとする趣旨は本書が初めてではない。
ロシア革命100年の2017年はレーニンを,マルクスを含めた検証が提起されるにちがいない。
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