304食糧の生産と消費を結ぶ研究会編『食料危機とアメリカ農業の選択』

書誌情報:家の光協会,203頁,本体価格1,600円,2009年4月1日発行

食料危機とアメリカ農業の選択

食料危機とアメリカ農業の選択

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アメリカの農業は遺伝子組み換え(GM: Genetically Modified)技術を活用した大型農業だけではない。GM技術はさらに進化し,非遺伝子組み換え作物の入手が困難な状況ともいわれている。日本の産直から学んだという「地域支援型農業 CSA (Community Supported Agriculture)」もいまひとつの特徴である。
本書は,グリーンツーリズム有機農業生産の実態調査をワシントン州で,GM作物の生産とバイオエタノール生産の実情をイリノイ州で,それぞれおこない,アメリカの農業事情から見える日本農業の選択肢を提示している。地産地消や地域密着型農業の展望を記すことで日本の食と農を考える恰好の読み物となっている。
WTO体制下のアメリカにおける大型農業の展開。他方で新しい生産者と消費者の協同。わが国で進む農業を例外にしない構造改革路線が唯一の選択肢ではないことを教えてくれる。