223国立大学の「埋蔵金」指摘は氷山の一角?

埋蔵金」報道の基礎資料を読んだ。2007年度での約3,000億円は,「積立金1,167億円」,「目的積立金931億円」,「決算剰余金903億円」の合計とわかる。「埋蔵金」問題だけでなく,「公費投入の対象となっている国公私立大学を通じた現状を検討する」(28ページ)として「その他」事項で7ページにわたって言及がある。
資料のタイトルを眺めれば,どういう方向で大学を考えているのかがよくわかる。資料は,「若者人口と大学数の逆転現象」,「大学過剰が招いた定員割れと学力低下」,「企業からの評価及び国際的な評価」,「国立大学法人化が目指したもの〜護送船団方式からの決別〜」,「第三者評価は機能しているか」,「予算の配分は各大学の努力・実績を反映しているか」,「運営の効率化は進んでいるか」,「自己収入増のインセンティブ付けの効果はあったか」,「授業料の自由化の効果はあったか」,「国立大学法人の再編・統合を推進すべきではないか」,である。大学は多すぎる,国際的評価に耐えられる大学を残す,運営費交付金は削減する,競争と効率にしたがった国立大学法人の再編・統合を進める,が基本である。

今後の議論に当たっては,上記(II)で指摘した第1期の運営状況に対する要改善点を踏まえ,国立大学法人化の当初の考え方に立ち返って,引き続き,各大学の教育研究の質の向上を目指すべきである。
その際,以下のような観点についても議論していくべきである。
① 運営費交付金機械的・一律に配付するよりも,各大学が自ら質を高める取組を促すため,引き続き運営費交付金の削減を行い,できる限り,教育は授業料,研究は科学研究費補助金等の競争的な資金で賄うことを目指すべきではないか。
② そのために,欧米の例にならって,教育・研究に会計を分離して,公費を投入すべきではないか。
③ 例えば同一都道府県内に教員養成課程(教育学部)等を始め,同様の学部を有する複数の国立大学や公立大学が多く見られる。重点的な資金配分,あるいは地域活性化のため,それぞれの目的に応じて国立大学法人の再編・統合を推進すべきではないか【資料IV-1-15,16】。
④ その中で,我が国の成長力・国際競争力を高めるため,国立大学法人として今後ともトップレベルの教育研究を行わせる大学として,どの程度の数の大学を想定するのか,国・地方公共団体の役割分担の観点を含めて,検討すべきではないか。
これらの点について,文部科学省は納税者の観点も踏まえて,早急に議論を進め,結論を出すべきである。(33-34ページ)