347イアン・ホワイトリー著(冨永星訳)『単位の歴史――測る・計る・量る――』

書誌情報:大月書店,254頁,本体価格2,800円,2009年5月20日発行

単位の歴史―測る・計る・量る

単位の歴史―測る・計る・量る

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マーク・トウェイン(mark twain)とはミシシッピ川での2尋の深さ(2番目のマーク)のこと。1800年代の中頃のこと,外輪蒸気船が安全に航行できるぎりぎりの水深を意味する。サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(1835-1910)は川船の水先案内人でもあって,ペンネーム Mark Twain にしたのだそうだ。
こんなエピソードを含む,人間が世界を知る手がかりとした手段である単位についてまとめたものだ。子午線を基準に定義されたメートル法などよく知られた単位系を含む度量衡,長さ,面積,体積・容積,質量,温度,時,速さ,力・圧力,エネルギー・仕事率からさまざまな単位が簡潔に説明され,図示されている。日本の単位についても解説されている。
江戸時代,悪徳庄屋は升の大きさを違えて農民から米を収奪したという。女工長時間労働を強制すべく時計をごまかしたのも有名な話だ。単位の標準化は人間の営みと制度のあり方と結びついている。
仕事率や電力の単位ワット(W [watt])は,ジェイムズ・ワットにちなんでいることは誰でも知っている。アダム・スミスの同僚だったとなるとスコットランドの同時代史につながってくるからおもしろい。