348石黒敬章著『幕末明治の肖像写真』

書誌情報:角川学芸出版,247頁,本体価格2,800円,2009年2月10日発行

幕末明治の肖像写真

幕末明治の肖像写真

  • -

著者のコレクション「石黒コレクション」のなかから人物見出し200人,肖像写真450点余,収録写真総数570点余の「よむ写真集」である(2枚のみコレクション外)。遣欧使節,オランダ留学生,天皇・皇族・公家,将軍家・藩主,幕末・明治の動乱期の人物,明治政府の中枢にいた人物,文化や教育を担った人物の肖像写真が,略歴とともに掲載されている。時代の異なる写真がある場合には複数の写真が掲載されている。ひげなし,白ひげ,黒ひげの板垣退助は本書だけだろう。
西洋思想の翻訳家だった林董(はやしただす)と中村敬宇(正直)は初めて見た。幕府オランダ留学生15名の西周(あまね)のみ写真がないそうだ。意外なミステリーがあったのかもしれない。
評者の講義「経済学史」では経済学者の肖像写真を多用する。われわれは人の顔を見て一瞬のうちに誰かを判断している。人間得意のパターン認識を活用すると経済学者もすぐ覚えてくれるようだ。

【検索でヒットすることと自分用の備忘録をかねて,人名索引を掲載しておく。新字で統一。】