031「ピカソと20世紀美術の巨匠たち展」および図録

ドイツ・ケルンのルートヴィヒ美術館所蔵展(愛媛県美術館)を見てきた。ここには約880点のピカソ・コレクションがありヨーロッパ最大級と言われている。今回は具象から抽象への変遷を示すように,「モンマルトルのカフェ」(1901年),「グラスと火物のある静物」(1908年),「緑色のガウンの女」(1922年),「マンドリン,コンパート,大理石の拳」(1925年),「読書する女の顔」(1953年),「草上の昼食(マネをもとに)」(1961年),「眠る女(横たわる裸婦)」(1960年),「剣を持つ銃士」(1972年)の8点が展示されている。
個人の援助による市民コレクション型美術館であるルートヴィヒ美術館は,ペーターとイレーネのルートヴィヒ夫妻が収集した作品を多く含んでいる。ピカソ・コレクションやポップ・アートも彼らのコレクションだという。
限られた展示の主張は,ピカソウォーホールを柱に,モダニズムと20世紀後半の作品を配し,かつ,具象から抽象への流れを押さえるというもの。一見ばらばらにみえる展示構成は,芸術家の表現技法と20世紀美術の多様性にあるのだろう。ブラック,マティスモディリアーニユトリロシャガールカンディンスキー,キリコらよく知られた作家の作品も1〜2点ずつ展示されている。
全体で60点ほどの小振りの展示で,圧倒感はない。じっくり見るには適している。

図録は2,500円。作品データ,解説はルートヴィヒ美術館提供資料の訳出だが,作家解説は各館の学芸員による。

タイトル 執筆者など
ご挨拶 カスーパー・ケーニヒ
ピカソからウォーホールまで――ルートヴィヒ美術館所蔵の作品 シュテファン・ディーダリヒ
それはピカソから始まった――ピカソと20世紀モダニズム絵画の展開 松田 弘
第I章 ピカソとヨーロッパ現代
第II章 戦後の傾向――抽象主義の傾向
- 戦後の傾向――具象絵画の状況
- 戦後の傾向――ポップ・アート
ルートヴィヒ美術館について -
作品リスト -