ドイツ・ケルンのルートヴィヒ美術館所蔵展(愛媛県美術館)を見てきた。ここには約880点のピカソ・コレクションがありヨーロッパ最大級と言われている。今回は具象から抽象への変遷を示すように,「モンマルトルのカフェ」(1901年),「グラスと火物のある静物」(1908年),「緑色のガウンの女」(1922年),「マンドリン,コンパート,大理石の拳」(1925年),「読書する女の顔」(1953年),「草上の昼食(マネをもとに)」(1961年),「眠る女(横たわる裸婦)」(1960年),「剣を持つ銃士」(1972年)の8点が展示されている。
個人の援助による市民コレクション型美術館であるルートヴィヒ美術館は,ペーターとイレーネのルートヴィヒ夫妻が収集した作品を多く含んでいる。ピカソ・コレクションやポップ・アートも彼らのコレクションだという。
限られた展示の主張は,ピカソとウォーホールを柱に,モダニズムと20世紀後半の作品を配し,かつ,具象から抽象への流れを押さえるというもの。一見ばらばらにみえる展示構成は,芸術家の表現技法と20世紀美術の多様性にあるのだろう。ブラック,マティス,モディリアーニ,ユトリロ,シャガール,カンディンスキー,キリコらよく知られた作家の作品も1〜2点ずつ展示されている。
全体で60点ほどの小振りの展示で,圧倒感はない。じっくり見るには適している。
- ピカソと20世紀美術の巨匠たち ルートヴィヒ美術館所蔵
- (開催中)愛媛県美術館(http://www.ehime-art.jp/) 2009年10月1日(木)〜11月8日(日)
- (予定)広島県立美術館(http://www1.hpam-unet.ocn.ne.jp/) 2009年11月17日(火)〜2010年1月11日(月・祝)
- (予定)浦添市美術館(http://www.city.urasoe.lg.jp/archive/8761234/art/index.html) 2010年2月6日(土)〜3月28日(日)
- (予定)そごう美術館(http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/index.html) 2010年4月8日(木)〜5月16日(日)
- (予定)宮城県美術館(http://www.pref.miyagi.jp/bijyuTu/mmoa/ja/main/index.html) 2010年5月22日(土)〜7月11日(日)
- (予定)鹿児島市立美術館(http://kagoshima.digital-museum.jp/artmuseum/) 2010年7月23日(金)〜9月5日(日)
図録は2,500円。作品データ,解説はルートヴィヒ美術館提供資料の訳出だが,作家解説は各館の学芸員による。
タイトル | 執筆者など |
ご挨拶 | カスーパー・ケーニヒ |
ピカソからウォーホールまで――ルートヴィヒ美術館所蔵の作品 | シュテファン・ディーダリヒ |
それはピカソから始まった――ピカソと20世紀モダニズム絵画の展開 | 松田 弘 |
第I章 | ピカソとヨーロッパ現代 |
第II章 | 戦後の傾向――抽象主義の傾向 |
- | 戦後の傾向――具象絵画の状況 |
- | 戦後の傾向――ポップ・アート |
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