263東アジア最古の縄文期埋葬犬の骨不明と「失敗史」(三論)

愛媛新聞』の記事(2009年10月24日付け)に,上黒岩遺跡の調査報告書が発見以来50年を経てようやく刊行となった,とあった。子ども読者向けの記事に仕立てたもので同紙のかつての取り上げ方からすると不満が残る(下記関連エントリー参照)。
今回の報告書は国立歴史民族博物館によるもので,展示(「縄文時代のはじまり――愛媛県上黒岩遺跡の研究成果――」,2007年1月17日〜2月25日)中のフォーラム(2007年1月20日)をまとめた『縄文時代のはじまり――愛媛県上黒岩遺跡の研究成果』(2008年4月,六一書房,[isbn:9784947743565])に続く成果物だ(『共同研究 愛媛県上黒岩遺跡の研究』2009年9月,六一書房)。歴博のページによれば,A4版640頁の大著のようだ(http://www.rekihaku.ac.jp/koohoo/kankoo/ronbun7.html)。
目次には「出土遺物」として「脊椎動物遺体」がある。所在不明になった埋葬犬――約8000年前の犬の骨2体で,埋葬犬としては東アジア最古で,犬の骨としては国内で2番目に古い――はどうやら不明のままで扱われたらしい。考古学専攻の同僚に本を借りて確認してみよう。