愛媛県久万高原町の上黒岩岩陰遺跡で出土した1万4500年前(縄文時代草創期)の石偶にノコゴリ状の文様があることがわかったという記事があった(朝日,編集委員・中村俊介署名,2020年6月9日付)。
中園聡鹿児島国際大学教授らの研究チームの3次元計測でわかり,『季刊 考古学 別冊32』(雄山閣)で報告されているという。
この石偶の所在と文様が刻まれていることは知られていた。なにしろ1960年代に発掘調査された時に出土したものだからである。研究成果自体に異を唱えるつもりはない。この記事には上黒岩遺跡の「国内でも類例のない線刻石偶13点」に触れているのに現在どこにあるのかについてまったく触れていない。「1万年以上前の人類の精神世界に迫る発見」が研究名目で半世紀以上も発見現場に戻されていないとしたら大発見も色褪せる。
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