284東アジア最古の縄文期埋葬犬の骨不明と「失敗史」(六論)

朝日新聞に上黒岩遺跡報告書の署名記事が出た(2010年1月8日,渡辺延志,「生きている男性刺され死亡」→「死後?の女性が数回刺された」 ”日本最古の殺人”解釈一変 愛媛の縄文遺跡・上黒岩 再調査報告)。1969年の第4次調査の際見つかったヤリの穂先と見られる骨器が刺さった人骨について焦点を当てたものだった。当初縄文時代にも殺人があったという解釈から,骨の形態やサイズから出産経験のある女性の骨で,生きているときか死後間もない時点で刺され,病気で亡くなった女性への儀礼行為ではないかと推測される解釈へと一変したことを報じている。
「男女の判断の違いにより,まったく別の歴史像が描かれることに驚かされる。40年後に刊行された調査報告書は,しっかりした観察所見の必要性を改めて示したといえるだろう。」とこの記事は結ぶ。
「調査報告書」とだけ記し,肝心の書名,刊行年など書誌情報がまったくない。この記事ではじめて調査報告書の存在を知った読者の知的関心に応えていない。また,「しっかりした観察所見」がなされないままに行方不明になった埋葬犬については一言も触れていない。「まったく別の歴史像」が描かれたかもしれないのに。