書誌情報:社会評論社,159頁・159頁,本体価格1,900円・1,900円,2009年11月9日発行
ニセドイツ〈1〉 ≒東ドイツ製工業品 (共産趣味インターナショナル VOL 2)
- 作者:伸井 太一
- 発売日: 2009/10/01
- メディア: 単行本
ニセドイツ〈2〉≒東ドイツ製生活用品 (共産趣味インターナショナル VOL 3)
- 作者:伸井 太一
- メディア: 単行本
- -
1949年10月7日から1989年11月9日(1990年10月3日ドイツ統一)まで存在した東ドイツの工業製品・都市と生活用品・政治・文化を紹介している。タイトルといい「共産趣味インターナショナル」シリーズといい,東ドイツをこけにしているようだが,「ドイツ研究と情報エンターテインメントの架橋」を企図した本格的なカタログ式読み物だ。
1998年にドイツ(フランクフルト,ベルリン,ドレスデン,ライプツィヒ,ミュンヘン)に行った時,本書にもあるトラビこと「共産主義車」トラバントはまだ現役で走っていたし,これまた本書に出てくるマルクス像もいたるところに残っていた。ホーネッカーの「本音っかぁ」,「思想・農労を防止する」歯みがき粉のように,評者にとうてい及ばないおやじギャグを散りばめ,東ドイツ製品を縦横に語っている。貧富の差をなくし平等を目指したとされる東ドイツというひとつの政治体制を,工業製品と生活用品から分析した面白本である。東ドイツそのものが「もの」に表れていたことがわかる。
映画『グッバイ・レーニン GOOD BYE LENIN!』はオスタルギー (Ostalgie)――ドイツ語の東 Ost と同じくノスタルジー Nostalgie の合成語――の名作だった。サブカル的要素をふんだんに織り込んだ著者のオスタルギーも並ではないとみた。
タイトルの「ニセ」には東ドイツ製品=贋・偽という意味を含んでいない。「贋と言われたくがないための似せ」タイトルである。
なお,本書2冊とも「第刷」とあり,「1」が抜けている。ニセ刷である。
- 1年前のエントリー
- 日本の女子大学の英語表記→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090311/1236780361
- 《一言自省録》日本の女子大がすごいのは英語表記からもわかる。
- 日本の女子大学の英語表記→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090311/1236780361
- 2年前のエントリ
- MEGA編集東京国際会議→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080311/1205245889
- 一橋大学機関リポジトリ・シンポジウム(続報)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080311/1205245890
- 《一言自省録》来週また国立(くにたち)へ。
- 3年前のエントリー
- 佐野眞一著『だれが「本」を殺すのか』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070311/1173541610
- 《一言自省録》一度ボツになった書評だった。
- 佐野眞一著『だれが「本」を殺すのか』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070311/1173541610