346一橋大学社会科学古典資料センター「西洋古典資料の組織的保存のために[改訂版]」

デジタル時代をむかえ図書館機能の再構築の動きがすすんでいる。8月にオープンするスタンフォード大学の工学関連図書館では,過去5年間で多くの本が1冊も借り出されていないことなどをふまえ,従来の図書所蔵を85%減らし,検索可能な本や定期刊行物へのアクセスを重視したシステムにするそうだ('Stanford Ushers In The Age Of Bookless Libraries'→http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=128361395)。
それでも古典資料の所蔵の重要性はいうまでもない。本冊子は2001年3月発行の同シリーズ No.47 の改訂版である。メンガー文庫約2万冊のマイクロフィルム化とともに進めた資料の保存の知見が披露されている。フランクリン文庫約18,000冊,ギールケ文庫約11,000冊が完了し,左右田文庫約8,000冊の保存作業が進行中である。
デジタル化とともに進むアナログの世界の地道な作業は図書館機能と後援会の財政的支援による一大学の事業として持続している意味を再考させてくれる。(48ページ,一橋大学社会科学古典資料センター,Study Series No.64, 2010年6月10日発行)