614エコクリティシズム企画『オルタナティヴ・ヴォイスを聴く――エスニシティとジェンダーで読む現代英語環境文学103選――』

書誌情報:音羽書房鶴見書店,xiv+392頁,本体価格3,000円,2011年7月15日

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多様な人種と階級構成,ジェンダーセクシュアリティーという視点から編んだ英語環境文学作品選集だ。各環境テーマは,「エスニシティと環境」,「汚染と身体」,「自然の再発見」,「自然と植民地主義」,「土地の歴史と喪失」,「いきものを語る」,「食と農業」,「エコシステムの崩壊」,「アクティヴィズムと環境正義」,「都市環境と越境」,「音楽と映画」である。103作品(30のコラムでの紹介も含む)の紹介と研究動向,原文引用,研究書誌は文学専門や英語クラス,環境・文化などの教科書・参考書を企図したものだ。
評者には聞き慣れないエコクリティシズムは1978年から使われてきた言葉で,ネイチャーライティング研究,環境正義,環境批評そのものの脱アメリカ化と脱植民地化へと拡大してきたという。地球共同体概念とその危機感が現在の環境文学とエコクリティシズムを支え,すでにおびただしい研究があるともいう。
日本人の英米文学研究者による英語環境文学作品とその批評をつうじた大地・身体論といえるだろうか。アジア系,ネイティヴ・アメリカン,アフリカ系,カリブなど多様な英語文学作品の断片からは「現代英語環境文学のグローバルな広がりと深化」を感じ取ることができる。階級・人種・エスニシティ・環境・ジェンダーなどが複雑に交錯している相貌も見て取ることができる。
エコクリティシズムはときに環境(文学)批評としても使われていて,あえて統一はしていないようだ。