823岩井志麻子著『オバサンだってセックスしたい』

書誌情報:KKベストセラーズ・ベスト新書(282),189頁,本体価格781円,2010年5月20日発行

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薹の立ったオジサンはオバサン本,しかもセックス本とあれば読まなくてはならない。
「韓国ドラマも韓国ドマラも好き」でオバサン真っ盛りのさかりがついた本音本を表看板に,オバサンに切り込んでいた。宇能鴻一郎を思い出させる語り口調の書き下ろし本は,オバサンの女性性を売りにしたところがオバサンらしい。
オジサン得意の猥談を我がものにし,男たちにお床の誘い,いや「嘘でも社交辞令でもいいからオバサンを選ぶふり」を勧めている。「熟女好き,オバサン好き,マザコン傾向の男に悪い男はいません(きっぱり)」と断言できる人生経験を経た著者はオバサンの鏡である。
「この本を手にした男はオバサンを口説きたい,オバサンを知りたいんですよね」と言われるほどではない評者には,「この手の本を手に取る男は,身も心もすり減るような思いではなく,身も心もちょっとした刺激と安らぎと冒険が欲しいんでしょうから」が図星の煮干しだった。
「アソコも心も,ついでに財布もすり減らし」ながらも,「オバサンは戦争なんかしません」と啖呵を切るオバサンが大好きだ。