『ローザ・ルクセンブルク』(1986年),『Vision――ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの生涯』(2009年)に続き,映画監督マルガレータ・フォン・トロッタと女優ヴァルバラ・スコヴァのコンビで『ハンナ・アーレント』(2012年)――HANNAH ARENDT: IHR DENKEN VERAENDERTE DIE WELT――が完成した。
20世紀の労働運動家にして社会主義者のローザ,中世の修道女にして科学者・作曲家のヒルデガルト,ユダヤ系ドイツ・アメリカ人にして政治哲学者のハンナと個性溢れる女性が主人公だ。
『ハンナ・アーレント』は,1960年代にエルサレムに行き,ナチスによるホロコーストに関与したアドルフ・アイヒマン裁判を傍聴した短い一時期を対象にしている。彼女のレポート『エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについて』はこの傍聴記として知られている。
女性が女性を描く。しかし,女性映画におさまらない歴史そのものの重みを感じるのはドイツだからだろうか。女性解放運動のスローガン「個人的なことは政治的なことである」は,なるほど女性性を超える。
日本では第25回東京国際映画祭(2012年10月20日〜28日)の「コンペティション」部門で上映されたそうだ。マルガレーテ・フォン・トロッタのインタビューがドイツ文化センターの記事にあった(→http://www.goethe.de/ins/jp/lp/kul/mag/flm/ja8898031.htm)。
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