9月1日から四国電力の電気料金が7.80%(申請は10.94%)上がる。その知らせの8ページのリーフレットが郵便受けに入っていた。Q&Aによる値上げの内容,料金メニューの単価と値上げ影響,9月分の電気料金,その他の変更点などである。
なぜ値上げが必要なのかについてはつぎのように説明している。「伊方発電所の長期停止に伴い,火力燃料費の増加などにより,収支が大幅に悪化しております。(改行)このため,当社では全社を挙げて最大限の効率化に取り組んでいるところでありますが,現在の危機的状況を克服することは極めて困難であり,このままでは発電に必要な燃料の購入や設備の修繕が行えなくなるなど,電力の安定供給に支障をきたすことを懸念されることから,やむを得ず,電気料金の値上げをお願いすることといたしました」。電気料金値上げの理由は「火力燃料費の増加など」(「など」としないで欲しい)にあるとしている。
伊方発電所の再稼働をどう想定しているかについてはこうだ。「原子力の稼働を見込むことにより,料金の値上げ幅を圧縮できますので,伊方発電所の3基のうち,新規性基準への対応が最も進んでいる3号機の再稼働を折り込んで原価を計算しております」と。1号機と2号機については稼働を折り込んでいないが,3号機再稼働によって値上げ幅を圧縮することができたという。
これだけではわかりにくいので,四国電力の資料「電気料金値上げ認可の概要について」(http://www.yonden.co.jp/press/re1308/data/pr001-01.pdf)を読むと,「今回原価と前回原価を比べた場合,火力燃料費の増加が比較的少ない一方,控除収益(販売電力料)が大幅に減少しています。これは,原子力利用率が低下する中,自社需要への電力供給を安定的に行うため,融通送電に活用していた火力を自社需要に充当したためです。この結果,当社管内のお客さまにご負担いただく火力燃料費は大幅に増加しており,今般,やむを得ず,値上げをお願いすることとなりました」(9ページ)と説明し,前回原価と今回原価の比較図を掲載している。水力他11%→12%,原子力44%→20%,火力45%→68%(以上自社需要相当)と図示し,原子力半減・火力23%増が値上げ要因というわけである。前回原価のうち説明文にあるように融通送電は自社需要火力の半分ほどある(62億kWh)。これを9億kWhに減らし自社需要火力にするのでコスト増になるとする。
図を見るかぎり,前回原価と今回原価の火力総量は変わっていないし,説明文では「火力燃料費の増加が比較的少ない」とも言っている。そうするとリーフレットにあった「火力燃料費の増加など」は値上げ理由にならないはずだ。融通送電つまり控除収益(販売電力料)が減るので値上げせざるをえないというのが正しい説明になる。
火力の融通送電と自社需要の原価を別々にしていない以上,原発の長期停止→火力燃料費の増加「など」→収支悪化というリーフレットの説明は,いったいどういうことになるのだろうか。
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