書誌情報:露蘭堂,153頁,本体価格3,000円,2011年11月25日発行
- 作者:ラザフォード オールコック
- メディア: 単行本
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本書は「1861年日本内地の旅行記録:長崎から江戸へ」(『王立地理協会雑誌』第32巻,1862年),英国外務省ラッセル卿宛書簡(1861年)の全訳である。『大君の都』(原著,1863年)(岩波文庫(上)[asin:B000JAKTFM],(中)[asin:B000JAKUM4],(下)[asin:B000JAK1LY])の第26章から第29章の元になった記録である。加えて全行程に同行したイラストレイデッド・ロンドン・ニュースの特派画家・チャールズ・ワーグマンが同紙に寄せた記録4点(「日本の生活」,「日本でのスケッチ」,「日本の九州横断騎馬旅行」,「日本の旅 大阪から江戸」),彼のスケッチ,『大君の都』原著の挿絵も掲載されている。
『大君の都』で既知の事柄だとはいえ,「九州の旅のあいだ中,農業生産物に関する限り,土地の豊かさと肥沃さは,その土地を耕し,そこに暮らす人びとの歴然とした貧しさと奇妙な対照」(36ページ)を観察していたオールコックを再認識できた。「この世の中で,日本人の役人から真実を得ることより以上に絶望的なことはひとつもない」(56ページ)と書いたオールコックの心中もさもありなんと思う。
翻ってワーグマンの視線はいつも生活と自然に向けられていた。マニラを思い出すと繰り返していた。後に日本人女性と結婚するワーグマンの日本人観察はオールコックとは違う。神奈川の茶店でのこと,「そのうちの一人はたいへん美しく,愛嬌があったので,わたしは彼女にハンカチを与えた」(96ページ)そうだ。そのハンカチが今保存されている,わけはないか。
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