1661吉田光邦著『江戸の科学者』

書誌情報:講談社学術文庫(2682),301頁,本体価格1,150円,2021年9月7日発行

原本は『江戸の科学者たち』(社会思想社,1969年)。江戸から明治まで120年間続いた本草漢学塾・山本読書室については触れてはいないが(松田清著『京の学塾 山本読書室の世界』京都新聞出版センター,2020年1月,[isbn:9784763807298]),江戸時代を代表する科学者たちの幼少期や功績などのエピソードは今でも色褪せていない。時期や分野を代表する25名以上の科学者たちを通じた世界に誇る科学史になっている。
著者が集積した29名の「小伝」も添えられている。実用に直結する科学もあれば,すぐには役には立たないながら科学の基礎を提供した分野もある。身分制社会におかれながら知との格闘によって未来を透視した科学者の姿が眩しい。