1662黒川祐次著『物語 ウクライナの歴史』

書誌情報:中公新書(1655),268頁,本体価格860円,2002年8月25日発行

モスクワから勃興した国がロシアの名乗り大国となったためあたかもキエフ・ルーシ公国を継承することになった。ウクライナこそ正統の国家にもかかわらずだ。
独自の言語・文化・習慣をもち,ヨーロッパの大農業地帯として,大工業地帯として,ロシアやその他の外国の支配下にあったウクライナの歴史を概説した。1991年の独立まで自分の国をもたなかったウクライナは,キエフ・ルーシ公国の首都をキエフ(キーフ)にもち,ゴーゴリ,チャリコフスキー,ホロヴィッツリヒテルブブカらの有名人のほか,スプートニクや大陸間弾道弾を世に送りだした。
ウクライナが独立を維持して安定することは,ヨーロッパ,ひいては世界の平和と安定にとり重要である」(256ページ)と20年前に本書は指摘していた。ウクライナの歴史を知ることはロシアのクリミア併合とウクライナ侵攻の意図を考えることと同値である。