1733小林哲夫著『早慶MARCH大激変——「大学序列」の最前線——』

書誌情報:朝日新書(901),347頁,本体価格990円,2023年3月30日発行

受験生や予備校では,旧帝大早慶,MARCH,関関同立などは日常用語である。官立大学,旧高商,師範なども関連して使われことが多い。「まえがき」にあるように,MARCH,日東駒専大東亜帝国関東上流江戸桜はかつての受験情報誌『蛍雪時代』の代田恭之(たかゆき)さんで,関関同立夕陽丘予備校創業者の作品という。
私学のなかでも志願者が多い7大学早慶MARCHの入学案内,基礎資料として編まれた本書は,難易度,就職力,研究力,学生気質,学生支援,ジェンダーウクライナ戦争への姿勢表明など多くの指標を提示している。客観的な分析が本書の特徴だ。
ただし,著者が苦言を呈しているように,「多くの大学の情報公開欄をみると,文科相の通知,閣議決定に従っていないところが見られる。早慶MARCHのなかにも情報公開に積極的でない大学があった。(改行)大学のウェブサイトには,たいていは「情報公開」のページが設けられている。そこには合格者について入試方式別,現浪別を明らかにしている。だが,入学者になると,その数は掲載されているものの,それだけ,というあっさりした情報公開が多く見られた。肝心の入試方式別,現浪別などは載っていない。ぜひ,改善をお願いしたい。高校教諭,高校生がいちばん知りたいところだ」(77ページ)。