1592野蛮でないまともな大学論

評者がブックマークしているウェブサイトのひとつに「全国国公私立大学の事件情報」(→http://university.main.jp/blog/)がある。かつてこのブログでは知人がいる鹿児島国際大学事件や東北大学元総長研究不正問題や研究における特定不正行為をたびたびとりあげたが,これは氷山の一角で学問の府とは名ばかりの人権侵害事件が多発していることがよくわかる。
日本大学にみられた理事専制体制や国立大学で進む学長専決体制,文教政策推進とからむ文部行政の問題,日本学術会議会員任命拒否事件も日本の大学で進行中の問題にほかならない。
『日本の科学者』第57巻第2号(2022年2月号,本の泉社,[isbn:9784780720631])は大学のあり方を問い,大学の役割を論じた「大学論」を特集しており,どこか生ぬるいマスコミの大学論とは一線を画している。

  • 中富公一「第2次安倍政権以降の大学政策と憲法――国立大学法人を中心に――」
  • 重本直利「大学ガバナンス評価の矛盾――学問の自由とガバナンス形態――」
  • 青木武生「政府主導による医療系大学の教育統制」
  • 丹羽 徹「私立大学の管理運営と学校法人」
  • 佐々木弾「企業体(リヴァイアサン)としての大学・研究機関――科学と社会への関係性と距離感――」
  • 山口裕之「21世紀の大学の在り方――おもろいことに没頭する人が集う場所に――」
  • 岡田健一郎「国立大学改革と労働組合の役割――「大学の自治」の再構築のために――」