中嶋啓明(共同通信記者)の「マルクス経済学を”排除する”一橋大学 蓼沼宏一・経済学部長の運営に不信と提訴」(『週刊金曜日』第929号,2013年2月1日, [ASIN:B00AZM56QG])を読んだ。見開き2ページの記事である。第1回口頭弁論(東京地裁,1月24日)までには書面でのやりとりが何度かあったと思われる。
「市場原理主義の教員らが経済学部を牛耳り,マルクス経済学を排除する動きを強めている」構図から,経済地理部門でのマルクス経済学による「上級経済原論」講義がそれに限定されない条件になったこと,ほかのマルクス経済学新任人事における「採用候補者を探すための担当委員」が学部長の「独断」によって選任されたことをまとめている。
裁判になっているのは前者における決定までのプロセスらしい。学部長の「諮問機関」である人事委員会の議論と決定にたいする情報開示が争点である。
記事はマルクス経済学対新古典派経済学の対立に論点をまとめていて,大学内の意思決定過程である人事委員会と教授会との関係や学部の決定にいたる手続についてはまったく触れていない。
一般論でいえば,あるひとりの正論が議論を尽くしたとしても多数になるとはかぎらない。いたずらに対立構図を荒立てるのはよくない。
ソウル大学のマルクス経済学存続問題(関連エントリー参照)と似ていて,似ていない。
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