書誌情報:技術評論社,188頁,本体価格1,480円,2012年11月25日発行
- 作者:今野 浩
- 発売日: 2012/10/19
- メディア: 単行本
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工学部実録シリーズの第3弾である。ヒラノ教授と4人の秘書たちとのヒショヒショ話(ヒソヒソ話とも秘所秘所話ともお好きなほうを連想してください)は残念ながらまったくない。第2弾(関連エントリー参照)でアメリカ留学中に遭遇した「色仕掛け学位略取事件」や「ハニー・トラップの危機」を難なく乗り切った謹厳実直,清廉潔白,品行方正,青天白日な堅物ヒラノ教授の「教員と事務職員の共闘物語」である。
科研費などの競争的資金を獲得して余裕ができたヒラノ教授は,研究支援のための秘書を雇う。なかでも東工大時代に縁があった「ミセスK」(最終ページで本名を明かしている)は途中中断があるが「20年以上にわたる幸運」(82ページ)を運んでくれることになる。
「ミセスK」は「口が堅く,正義感が強く,性格が明るく,差し出がましくなく,健康で頭が良く,しかも美人」(99ページ)の成城マダムである。ヒラノ教授の研究生活のあれこれに「ミセスK」を含む秘書話を味つけにしているのが第3弾の本書である。
第1弾で正面から工学部と教授の生態を,第2弾でさまざまな事件を綴り,第3弾で秘書との関係を膨らませながらヒラノ教授と周辺の大学事情を再論したことになる。
秘書といえば梅棹忠夫の秘書をした藤本ますみの本(『知的生産者たちの現場』講談社,1984年,[isbn:9784062006507])を思い出す。内容の詳細は忘れているが,ベストセラー本『知的生産の技術』(岩波新書,1969年,[isbn:9784004150930])とともに研究的日常への刺激になった。「ミセスK」による『工学部ヒラノ教授のヒショヒショ話』(仮題)を読みたいものだ。
- 関連エントリー
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- 今野浩著『工学部ヒラノ教授』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110901/1314886469
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