毛沢東関係グッズのオークション「紅色コレクション」で,1944年に20部刊行された『毛沢東撰集』には350万人民元(約5,870万円),その豪華版(販売時20万人民元)には152万人民元(約2,550万円)の価格がついる(島崎英威「毛沢東生誕120周年と出版」『出版ニュース』2014年2月上旬号。以下も島崎稿による)。
かつては外国人の土産物扱いだった毛沢東グッズは投資の対象であり,文化財級になり,中国全土に「毛沢東専門店」が生まれているという。『毛沢東語録』は毛沢東死後出版停止になっているが,軍事科学院の研究スタッフによって改訂版の出版計画がある。また,中央委員会文献研究室編集の『毛沢東伝』英文版がケンブリッジ大学出版界から刊行予定ともいう。
毛沢東時代には,『毛沢東語録』は55億冊,『毛沢東撰集』は36億冊,『毛沢東詩抄』は4億冊発行されたという説がある。『語録』は今でも出版禁止であり,骨董店・古玩城で売られているものは古色を付けた海賊版だそうだ。
北京・天安門の毛沢東記念堂(腐敗処理された毛沢東の遺体がある)――世界文化遺産に申請しようという動きがある――には列をなし,故郷である湖南省にある記念館――新築および旧居の改装などに総額2,500億円を計上――には8カ月で778万人が訪れたという。
安倍首相が靖国神社に参拝した12月26日は毛沢東生誕120年だった。抗日戦争を指導し中華人民共和国を建国した毛沢東の誕生日を選んで参拝したとしたら,格差や民族問題,党官僚の汚職を「反日」に焦点を合わせたい中国政府の思う壺だったことになる。
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