713産業革命4.0

ドイツでは「産業革命4.0(Industry 4.0)」と称し,イノベーション政策と工場を「モノ・データ・サービスのインターネット」空間化する構想を進めている("DE Magazin Deutschland", J 4/2013の特集)。
18世紀末の水力ないし蒸気機関を利用した新しい生産設備による第1次産業革命(工場制機械工業),20世紀初頭の電力を利用した分業制ライン生産による第2次(大量清泉の時代へ),1970年代の電子・情報技術を利用した生産設備による第3次(自動化・ロボット化),そして現代の生産に関与するすべての機械や製品のデジタルネットワーク化による第4次(完全なネットワーク化)という。
産業革命4.0の主役は製品と機械であり,最終目標は自律的に制御される生産システムである。ここにはドイツの機械・電気メーカーのファクトリー・オートメーションを前提として,ドイツメーカーが生産制御システムや技術ソフトによる優位性によってドイツをふたたび世界の中心にするという思惑がある。ベルリン,ブレーメン,レムゴ,ブロムベルク,ドルトムント,ヴュルゼーレン,アーヘン,ボン,ドレスデン,バートホンブルク,ケーニッヒシュタイン,フランクフルト,ダルムシュタット,イーゲルスハイム,カイザースラウテルンカールスルーエ,ラインミュンスター,ディツィンゲンゲルリンゲン,シュトゥットガルトエスリンゲン,レーゲンスブルクミュンヘンなどに産業革命4.0の拠点(大学,応用研究,産業,連盟)がある。
「後年振り返ると,2000〜2013年頃に革命の起点があったことが明確になる」(27ページ)として,産業革命4.0が数年いや数十年先にようやく全世界に及ぶと展望している。経済大国ドイツを目指す意気込みを感じた。
スマートフォン,グーグルグラス,スマートファクトリー,スマートハウス,スマートオートモービル,監視カメラのネットワーク化などすべてが産業革命4.0の方向を指し示す動きだとしたら,われわれの働き方や生活は大きな影響を受ける。産業革命4.0は確実に進行中である。