690ドイツの最高水準工科大学 TU9

ドイツの大学予算は連邦制であることにより国ではなく16ある各州から拠出される。予算規定は厳格で連邦と州の共同出資は禁止されており,国(連邦)の資金は競争的資金を通じてのみ流れる仕組みだ。日本の各種COEや教育GPのような競争的資金と同じような「エクセレンス・イニシアチブ」が2005年から始まっている。
2017年まで実施される「エクセレンス・イニシアチブ」はこれまで3回の選考があり,総額4,600万ユーロが投じられている。「未来構想」の実現を旗印に掲げるエクセレンス大学が11,大学院研究科が45,エクセレンスクラスターが43である。
これとは別に TU9 という略称で,ドイツにおける最高水準の工科大学連合を指すことがある。

ドイツの大学は国際ランキングの上位に入っていない。「エクセレンス・イニシアチブ」はそうした「危機」意識があった。それでも欧米や日本ほど大学間格差が大きくないのは,連邦制であることによる財政システムが大きいように思える。フンボルト理念と「エクセレンス・イニシアチブ」の両立は可能なのか。ドイツの大学事情からも目を離せない。